土と石の講義

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先日のこと、朝から友人N氏と一緒に、美濃瀬戸に於ける原料の博士とも言うべき人物、Sさんの家に伺う。

中国陶磁からの流れを汲み、瀬戸美濃のやきものの技法がどのように、発展・収斂していったか。
二時間以上、歴史、地学、化学と、様々の観点から濃密な講義をしてただいた。

物静かだが、鋭い調子で語られる氏の言葉は、数十年に渡り美濃瀬戸の原料を堀り、焼き続けてきた、膨大な知識と経験の蓄積を感じさせた。

数多くの作家が、氏の下を訪ね、学んでいったと聞く。
亡くなった太田さんもまた、その理論に大きな影響を受け、実践した人だった。

無学なわたしにはまだまだ難解な部分も多かったが、大変勉強させて頂いた。
連れていってくれたN氏にも感謝。

「作家としてやっていきたいなら、”目線”を高く持て」とS氏は言った。

作家業の現実は厳しい。
途方もなく。
特にわたしやN氏のように、何の地盤も持たないストレンジャーの場合は尚更だ。

しかし、そこにどのような苦難があったとしても、
Sさんが言ったように、せめて”目線”だけは高く持っていきたいと思った。

”目線”を高く持て。

それはまそのまま、
土と石に拘り続けろ、
と、言われているような気がしたのだ。

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