火曜日。よく晴れたので、久々に山を歩いた。
以前から気になっていたのだが、行けていなかった昔の長石鉱山跡と思しき場所へ。
古い地質図によれば、大きなペグマタイトの脈があるというのだが、
ならば良質なカリ長石でも見つかるのではないかと安易に夢想しながら現場へ向かう。
少し林道を入ると途中で道が途絶える。
仕方なく大きな砂防をの上を歩いて川を渡ると、辛うじて道のようなものを発見。
今では灌木が生い茂り、薮漕ぎのような形でしか進めないが、
一定幅で平らな面が続いていることが、ここがかつて掘り出した石を運んだ搬出路である事を教えてくれる。
木をかき分けて螺旋状に山を登って行くと、
突如露頭が現れた。
風化した花崗岩は、同じ長石質原料とは言え、砂婆や曹珪といわれるものだろう。
今にも崩れそうだ。途中、ペグマタイトの欠片もいくつか拾ってはみたが、
このような固い結晶は、原料屋のHさんに言わせれば、扱い的にはゴミだそうだ。
結局使えそうなものは何も見つからなかった。
その後、場所を隣の集落に移動して、またまた採掘跡のような場所へ。
巨大な花崗岩がそこここに露出しているのだが、
その根元に注目すると、何やら穴が。
近づいてみると人一人入れるような深い穴が穿たれており、
底の方をライトで照らしてみるとカリ長石と思しき欠片が散乱しているように見えたのだが、あれは幻影だったろうか。
今にも上から巨大な岩が落盤してきそうな雰囲気で、さすがに中に入るのはやめておいた。
これが、いわゆるタヌキ掘りというものか。
しかし人力で…。昔の人の執念はもの凄い。
そうこうしているうちに用事の時間が来てしまい、
後ろ髪を引かれながら、いそいそと帰る事に。
良質なカリ長石の山は夢に終わったが、久々の山で少し気分が高揚したのだった。