Oさんが亡くなった。
あまりに突然の訃報に、目の前に起きた現実が、ただただ信じられず、
いまでも気持ちの整理がつかないままだ。
今から考えれば短い時間だったが、一年程前に出会ってからというもの、
土のこと、長石のこと、桃山陶のこと、窯のこと、お茶のことなど、
ほんとうにいろいろなことを教えてもらった。
特に原料について話す時は、普段以上に熱っぽく語ってくれた。
わたしはいつも話を聞くのが楽しみでしょうがなかった。
「窯が小さくて…」と相談すれば、後日わざわざ電話をくれ、
中古窯の情報を教えて頂いたり、窯道具を譲って頂いたり、
作家同士の交流会や、企画展に誘って頂いたり…。
「スズキくん、頑張ってよね。」と、
わたしのような若輩者のことも、いつも気にかけてくれる、優しい人だった。
三年前、縁もゆかりも無い美濃の地に来て、わたしは右も左もわからず迷走していた。
それでもOさんと出会ってから、この地でやっていく道が、ほんの少しだが開けてきたような気がする。
Oさんはわたしにとって常に「道標」的な存在だった。
それだけに、いま、わたしは激しい喪失感に苛まれている。
Oさんのつくる美しい黄瀬戸を、もっともっと見たかった。
いつか、一緒に土掘りにいきたかった。もっと、いろいろ教えてほしかった。
それももう叶わない。
Oさん…、
太田梁さん!
さようなら!
どうか安らかに眠ってください!