土と石の講義

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先日のこと、朝から友人N氏と一緒に、美濃瀬戸に於ける原料の博士とも言うべき人物、Sさんの家に伺う。

中国陶磁からの流れを汲み、瀬戸美濃のやきものの技法がどのように、発展・収斂していったか。
二時間以上、歴史、地学、化学と、様々の観点から濃密な講義をしてただいた。

物静かだが、鋭い調子で語られる氏の言葉は、数十年に渡り美濃瀬戸の原料を堀り、焼き続けてきた、膨大な知識と経験の蓄積を感じさせた。

数多くの作家が、氏の下を訪ね、学んでいったと聞く。
亡くなった太田さんもまた、その理論に大きな影響を受け、実践した人だった。

無学なわたしにはまだまだ難解な部分も多かったが、大変勉強させて頂いた。
連れていってくれたN氏にも感謝。

「作家としてやっていきたいなら、”目線”を高く持て」とS氏は言った。

作家業の現実は厳しい。
途方もなく。
特にわたしやN氏のように、何の地盤も持たないストレンジャーの場合は尚更だ。

しかし、そこにどのような苦難があったとしても、
Sさんが言ったように、せめて”目線”だけは高く持っていきたいと思った。

”目線”を高く持て。

それはまそのまま、
土と石に拘り続けろ、
と、言われているような気がしたのだ。

黄瀬戸窯出し

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先日窯出しした黄瀬戸の茶盌で一服。
テスト時より黄色味は増したものの、やはり難しい。
焼き加減か、肌合いが黒ずんでちょっと汚い感じになってしまいました。
クリスマスに大澤にて黄瀬戸再チャレンジ予定です。

今日はお休みなので朝から土堀り。
よい層がみつかったのでちょっと多めにとってきた。

明日は友人N氏の計らいで、原料のスペシャリストS氏のお宅にお邪魔してきます。
緊張しますが、今から楽しみです。

露頭発見

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窯焚きは昼前まで。
やはりこの時期の窯焚きは寒さが身に沁みる。
ガス窯は1000度を越すまでは殆ど暖房的な機能は期待できない。
この時ばかりは大澤ガス炉自慢の厚い炉壁を恨めしく思った。
寒くてあまり仮眠もできず、
焚き終えた時にはフラフラだったが、
帰り道、気になっていた山があったので、ちょっとだけ寄ってみる。
山道を少し入り、森をかき分けるとパッと視界が開け、
巨大な露頭に遭遇。

これが全部風化長石なら大興奮だったが、
残念ながら珪石脈だった。これはこれで少し風化しているのでなにかに使えるかも。

テスト用に少し頂いて帰る。

窯焚き

今日は大澤ガスにて窯焚き中。

作業が上手く進まず、
昨晩から明け方まで釉薬掛け。
少し仮眠して、眠い目をこすりながら、瀬戸へ向かう。
窯焚きは明日の朝まで。
眠気との戦いになりそうです。

今回は、再び黄瀬戸の窯。
前回ガス窯と電気窯で何十種類かテストして、少し良さそうだった原料の組み合わせを四通り。
えてして、作品に掛けると、ダメだったりすることが多いものだ。
どうなることやら。

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先日のこと、所用あって南知多へ。

海を見るのは久しぶりだ。

とても幸運な話を頂いた。
少しづつ、進んで行けそうだ。

急遽釉薬掛け

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また、随分更新をサボってしまいました。
さて、今週末、瀬戸のYさんが薪窯を焚くとのことで、少しだけ作品を入れさせてもらうことに。急遽ぐい呑に釉掛けしています。
灯油価格高騰の折、我が工房は未だ、ストーブ無しで我慢しております。
鼻水を垂らしながら、どうにか、施釉完了。
この季節、釉薬の樽に素手を突っ込むのは拷問に近いのだ。
来月には酸化の窯も控え、時間がどんどん足りなくなさそう。
風邪だけはひかないようにしなければ。。

展示会

松坂屋名古屋店アートプレースで開催中の”恒梁会作品展”、
本日少しの時間ですが、顔を出してきました。
この週末も作品をいくつかお買い上げ頂いたと伺いました。ありがとうございます。
29日火曜日まで開催しています。皆様どうぞよろしくお願いします。

さて今日は四日市・ギャラリー雲母さんで開かれている展示会にも行ってきました。
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“壺展”

先日初めてお会いした訓練校の先輩、瀬戸で作陶されている橘岳さんが参加されている企画展です。
ご本人から素敵なDMを頂き、どうしても観に行きたかった展示会。

中世古陶磁の雰囲気をたたえた灰釉の瓶子群。

いま、これほどの古瀬戸を作れる人をわたしは他に知らない。

生けられた花も含めて、素晴らしかったです。

 


 

 

美濃の古陶

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“恒梁会作品展”、23日より始まっています。ご来場頂いた皆様ありがとうございます。
各作家力作ぞろいとのこと。ご好評頂いているようで何よりです。

さて今日はわたしのおすすめの一冊をご紹介。

『美濃の古陶』楢崎彰一監修、光琳社刊。
質、量ともに、素晴らしい充実度で、まさに美濃の古陶磁研究におけるバイブルといっても過言ではない本です。
特に巻末に付された地図と表には、窯跡ごとの遺物品目、時代など、非常に詳しく記載があり、
地形図に窯跡の位置を記した優れもの。古窯跡を訪ねる際に便利です
(現場は跡形も無くなっているものも多く、簡単には辿りつかないけれど)。

16年前の夏、当時13歳だったわたしは、図書館から借りたこの本のコピーを片手に、独り古窯跡を訪ねた。
そんな、思い出深い一冊です。